2014年3月31日月曜日

「スティル・ライフ」

Still Life / cbransto

 突然ですが、当方の好きな小説を挙げたくなりました。

出会いは高校生の時。
入院中の当方に、姉が本を送ってくれた事です。
二冊ほど。

一冊は、池澤夏樹の「スティル・ライフ」。
もうひとつは、吉本ばななの「マリカのソファー」でした。

添え付けの手紙に、
「スティル・ライフの冒頭の言葉を、きみに送る。引用しようと思ったけど、長いから本を送る」
と書いてありました。

そして本を開いて、読みました。

以下、私がその後も度々思い返してきた、スティル・ライフの冒頭の言葉です。






「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
 世界はきみを入れる容器ではない。

 世界ときみは、二本の木が並んで立つように、
どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
 きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。
 それを喜んでいる。
 世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。

 でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。
 きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。
 きみの意識は二つの世界の境界の上にある。

 大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、
きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、
一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
 たとえば、星を見るとかして。」

(池澤夏樹 『スティル・ライフ』)


初っ端から衝撃的な冒頭でした。
でも、高校生の時は意味がよく解らなかった。
今はなんとなく少しずつ解ってきた気がする。

あと、最近また読みたいと思ってるのは、
「かもめのジョナサン」(著者リチャード・バックだった気がする)
これ昔読んで「おお」って思った。

それ以後、思えば心からのヒット小説に出会ってない気もする。
単にもちのようなねこが小説離れしただけだろうか。

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